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“エオラ”  第二話 ポッケ村

シュレイド地方の北東に位置するフラヒヤ山脈。山頂は万年雪によって白銀に染められ、山間から吹き付ける風は冷たく、あらゆるものを凍て付かせるようだ。
だがそんな厳しい環境の中にあっても住む人々がおり、またいくつかの村が存在する。山脈付近の高地に存在するポッケ村もその一つ。村のシンボルである瑠璃色に輝く巨大なマカライト鉱石が鎮座している広場には小さな人だかりが出来ていた。

「すげぇな二人とも。雪走りの親玉を捕獲したんだって!?」
「もちろんよ。これぐらい私達にかかればなんでもないわ。」
ササメがまるで鬼の首を取ってきたかのように得意そうな調子で答えた。二人の前に置かれている台車の上には、荒縄で雁字搦めにされた先程の雪走りがもがいていた。
「もうそろそろ帰ろうよ。こんな見せびらかすなんて見っとも無いよ。」
隣りに立っていたハセツが人だかりの外に視線を向けながらササメにそっと囁いた。
ハンターと思しき人間が何事かと人だかりを覗きこむと、すぐに呆れた様な顔をして去って行った。この村にはギルドの出張所があり、雪山への狩りに赴くハンターたちの拠点になっている。雪走りことギアノスはギルドでは、比較的危険性の低いモンスターとされており、百戦錬磨の彼らからしてみれば、「ギアノスを捕獲した程度でなに大騒ぎしているんだ?」といったところであろう。

「何事も出だしが肝心じゃない。そんなのいちいち気にしちゃ駄目よ。」
元々あまり細かいことは気にしない性分の上、小さいときから男の子顔負けのわんぱく娘であった彼女は、こういったことは気にならないようである。
「でも・・・。」
彼女が言葉を続けようとしたとき、子供位の背丈をした老婆が人だかりの間を杖を突きながらやってきた。
「オババ様。」
オババ様と呼ばれたその老婆は目を細めながら雪走りを眺めると、すぐに二人に向き直った。
「良くやったね二人とも。でも油断しちゃいけないよ。何事も少し慣れてきた辺りが一番あぶないからねぇ。」
「大丈夫よ、オババ様。私達二人に掛かれば怖いものなんて何もないわ。確かこういうのって『矢でも鉄砲でも持ってこい』っていうんだっけ、ハセツ?」
頬を赤らめながら恥ずかしそうにハセツが答えた。
「それを言うなら『槍でも鉄砲でも持ってこい』だと思うよ・・・。」
村人たちの笑い声が木霊した。

「皆の前で恥をかかせたのはこの口か~!?」
「本当の事言っただけじゃない~!!」
ポッケ村は近隣の村と比較すると外部からの人間の出入りが多い。ギルドの出張所があるのも理由の一つであるのだが、ポッケ村だけの特徴として良質の温泉が湧いているのも理由の一つである。これを目当てに湯治客が時々やってくるのだ。勿論村人も積極的に利用し、多くの場合温泉というのはリラックスして入るのが相場となっているのだが、この姉妹の場合はそうはいかないようである。先程の一件で赤っ恥をかいたササメが温泉に浸かりながら、その張本人の頬を抓っていた。
「それより、これからどうしようか私達。」
ササメがハセツの頬から手を離すと、ふと思い出したように呟いた。
「これからって、ドンドルマに行こうかって話していたこと?」
ハセツが抓られていた頬を擦りながら尋ねた。
「うん、ポッケ村はギルドの出張所があるから依頼はある程度来るけど、数も種類もたかが知れてるわ。だからもっと沢山の依頼が来るドンドルマに行ってさ、お祖母ちゃんに仕送りをしようよ。」
「ここから南西にあるヒンメルン山脈だったっけ。山間にある大きな風車が並んでる街で、人の数もこことは比べ物にならないらしいね。」
街からやってきたハンターや書物から得た情報を反芻して、二人は暫く空想の世界を旅した。立ち並ぶ風車、広場を行き交う大勢の人々、市場で売られている見たことも聞いたことも無い野菜や果実、槌の打つ音が絶えず聞こえる武器工房、そして数え切れない程のハンターが集うギルドの窓口がある大衆酒場、その中に多くのハンター達から称賛の声を受けている二人のハンターが・・・。
「そろそろ上がろうよ・・・。」
ハセツの声でササメは現実に引き戻された。振り向くと顔を真っ赤にして気だるそうな顔をしたハセツがいた。
「ごめん、そろそろ上がろうか。」
「もう少しで湯あたりするところだったわ・・・。」

頬に心地よい風を感じ、少しふら付いているハセツに肩を貸しながらササメ達は自宅へ戻り、夕方からの依頼に備えて二人とも仮眠を取ることにした。
自室のベッドに腰掛けると、ササメは軽いため息をついた。
「また聞かされちゃったわね。耳にタコが出来そうだわ。」
隣りのベッドで耳元まで切り揃えられた髪を梳かしながら、ハセツが微笑みながら答えた。
「ハンターなんて危ない仕事はさっさとやめて、早く孫の顔を見せてくれってね。私達まだそんなつもりないのに。」
「本当にね。お喋りはここまでにして早く寝ましょうよ。」
「わかったわ、おやすみ。」
カーテンを閉めて布団の中に潜り込むと、やがて二人とも夢の世界へと誘われていった。

~第二話終わり~
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