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“エオラ”  第三話 夕刻描

ササメが目を覚ますともう日が西に傾き、夕方になっていた。
瞼を擦りながら、眠気を追い払うように体を伸ばすと、ベッドから出てマフモフシリーズへと着替え始めた。
隣りのベッドではハセツが頭から布団をすっぽりと被って気持ち良さそうに寝息を立てている。
ササメがふと悪戯心を起こし、起きないようにそっと布団をどけた。
そしてハセツの耳元に唇を近付けると・・・。

「キャッ!?」
夢の世界から引き戻されたハセツが飛び上がろうとした時、側頭部に何かがぶつかってきたような衝撃が走った。
慌てて振り向くと、涙を浮かべながら口元を両手で押さえているササメの顔が視界に入ってきた。半分目が覚めていなかったが、自分の身に何が起こったかはすぐに呑み込めた。
「何するのよ、いきなり耳に息吹き掛けてくるなんて。子供じゃないんだから起こすならもっと普通に起こしてよね!!」
ハセツが頭を擦りながら怒鳴ると、ササメも負けじと応戦に出た。
「それなら自分で起きてよね、この寝坊助!!それにそんなことで本気になって怒るハセツだって充分子供じゃない!!」
「『矢でも鉄砲でも』なんて恥ずかしい間違いする誰かさんに言われたくないわね!!」
「何ですって~!?」
ササメがハセツに掴みかかろうとした瞬間、ドアが開いてしびれを切らした祖母のエタツジが呆れながら入ってきた。そして二人仲良くやれお前たちは何時まで経っても子供だとか、やれそんなことばっかりしてるから嫁に行けないんだと、毎日聞かされ耳にタコが出来そうな説教を再び喰らう羽目になってしまった。
そんなことがあったからであろうか、二人とも夕食のポポ肉のサンドイッチとミックスビーンズのスープの味を殆ど感じられずに早々と夕食を済ませてしまった。

二人が準備を済ませて村の入り口にに行くと、一匹の子供位の背丈がある猫に似た生き物が立っていた。緑色の瞳は翡翠のように落ち着いた光を湛え、黒い毛並みは夕焼けに照らされ漆器のようにしっとりとした輝きを放っていた。

「何でアンタがこんな所にいるのよ、バッケ。」
バッケと呼ばれたその生き物はササメの声に気付くと、片方しか無いその耳をピクピクと動かしながら振り向いた。彼の名前はバッケ。この世界にはモンスターと称されている生物群の中にも、人間と共存しているものが少数ながら存在し、彼はその中の一つ、アイルーと呼ばれている種族の一員である。

「オババ様に頼まれてね、今晩のクエストは僕も参加させてもらうよ。」
バッケがそう答えると、二人は顔を見合わせササメが怪訝な顔をしてバッケに尋ねた。

「どういう事よ、それ。そんな話聞いてないわよ。私達はあんたみたいな子守りを付けられる程初心者じゃないのよ。」
それを聞いたバッケは顔を前足(この場合は手?)で洗いながら答えた。

「あのねぇ、そんな油断が命取りになるんだよ。雪走りの親玉を捕獲出来たから有頂天になってるみたいだけれども、アイツだって群れを追われた『はぐれ者』だったんだからオババ様も紹介してくれた依頼だったんだよ。もしも群れをまとめて相手にしろって依頼だったらどうなっていたと思う?下手すれば二人とも雪走り達のメインディッシュになってたかもしれないんだよ。今晩は雪山草を採取してくるらしいけど、どんなことが起こるか分からないからね。絶対に気を抜かないように、わかったね、二人とも?」

お婆ちゃんの説教から解放されたと思ったら、今度はバッケから説教を喰らう羽目になろうとは。ササメはげんなりしつつも、クエストに向かうため村を後にした。

空は夕焼けに照らされ真っ赤に染まっていた。これから起こる悲劇を暗示するかのように・・・。
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