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“エオラ”  第一話 雪走り

ここはどこだろう?

ここではない別の世界。
見渡す限り見えるものは月光に照らされ白銀に輝く雪原。
大気は突き刺すように冷たい。静寂のみが支配する世界、と言いたいがそうはならないようだ。

一人の人間が後ろを振り返りながら走ってきた。フードからは三つ編みにされた銀色の髪が顔を出し、全身を毛皮を加工し、各所にこの地方特有の文様が織り込まれているマフモフシリーズと呼ばれている防具を身に着けている。

彼女の名前はササメ。
ササメは前方に見えてきた針葉樹の林に駆け込むと、すぐ近くにある茂みの中に身を隠した。

「そろそろ来るかな・・・?」
彼女が茂みから顔を出そうとしたその時、血の匂いと共に、雪を踏みしめる音が近づいてきた。
慌てて顔を再び隠し、茂みの中から外の様子を窺っていると、一匹の生き物が姿を現した。
鳥とトカゲの合いの子のような姿、白い鱗に覆われた胴体、浅葱色の鶏冠、口腔からは鋭い牙が顔を覗かせていた。
この地方では“雪走り”と呼ばれているモンスター、ギアノスの親玉、ドスギアノスである。
脇腹にはササメに突き刺された片手剣がそのままぶらさがっており、傷口から滴り落ちる血が大地に赤い花を咲かせていた。
しきりに辺りの匂いを嗅いでいると、前方に見える茂みに足跡が続いているのを発見した。

「それで隠れたつもりか?」
もしも彼が人間の言葉を話せたとしたらこう呟いていたであろう。ササメの隠れている茂みへ近づこうとしたその時。

森の奥から低い笛の音が聞こえてきた。角笛の音だ。
雪走りは思い出したかのように笛の音が聞こえる方角へ消えていった。

「一瞬肝が冷えたわよ、ハセツ。」
そう呟きながらササメは茂みから出てくると、小走りで雪走りの後を追っていった。

雪走りが林の奥の進んでいくと、暫くしないうちにもう一人の人間を見つけた。彼女はササメと同じようにマフモフシリーズを身に纏っており、右手には角笛が握られ、フードからは黒い前髪が顔を覗かせていた。
彼女が雪走りに気付いて後ずさりをするが、雪走りも体を低くしてじわじわと距離を縮めてくる。
突然雪走りが彼女の視界から消えた。慌てて彼女が地面を蹴って側方に避けると、彼女がいた場所には雪走りが驚異的な脚力を用いて舞い降りていた。もし数秒避けるのが遅れていたら、雪走りの爪牙が彼女の肉体を八つ裂きにしていただろう。
雪走りが体を起こそうとしたその時、足の裏に何かが突き刺さったような痛みがしたと同時に、突然全身に電流が走ったような衝撃が襲い、体が動かなくなってしまった。
必死に動こうとするものの、全身の筋肉がまるで石になってしまったかのように動けない。

「あとは任せて、ハセツ。」
追いついたササメがポーチから赤い玉を取り出して、雪走りの顔面に投げつけた。玉が爆ぜて甘いような、酸っぱいような匂いが辺りにたちこめると、雪走りはそのまま雪の上へ倒れこんだ。

「シビレ罠の設置ご苦労様、ハセツ。」
「そちらこそ囮役ご苦労様、ササメ。」
ササメが雪の中に倒れこんでいたハセツを起こして、二人でそっと雪走りのもとへ駆け寄った。雪走りは、麻酔が効いているのか、ピクリとも動かない。
二人が雪走りを見下ろしていると、喜びがふつふつと体の底から湧いてきた。

「やったよ私達、初めてモンスターを捕獲出来たよ、しかも雪走りの親玉なんて!!」
「嬉しいのはわかったから抱きつかないでよ、痛い痛い!!」

ササメの笑い声が夜の林にこだました。

第一話 終わり
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